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花咲けるエリアルフォース

花咲けるエリアルフォース (ガガガ文庫)花咲けるエリアルフォース (ガガガ文庫)
(2011/02/18)
著:杉井 光
イラスト:るろお
商品詳細を見る


総合評価:B
キャラクター:B´
構成:B´
世界観:B
文体:B
内容:B

 桜の記憶と哀しい戦争の物語。非常に評価しにくく、且つかなり読み手を選ぶ作品。正直、こんな作品はガガガ文庫ぐらいでしか出せないと思えます(あとがきでも述べられていますが)。
 ソメイヨシノの記憶を残し、戦争によって全てを失った主人公の仁川祐樹。東京の中学に転校する際に迎えに来たのは謎の飛行兵器に乗った少女、桜子だった。祐樹を桜型最終飛行兵器《桜花》玖番機《杦姫》の適合パイロットとして招集しに来たと言う。そこから祐樹は否応なく民国との戦争に巻き込まれていく。時を止めた桜の力を使い、祐樹は仲間や上官とともに戦場の空を飛ぶ。
 キャラクターは、どのキャラもわりと淡白に描かれている。主人公である仁川祐樹はかなりのヘタレ。基本的に「戦いたくない」と逃げ回ります。ウジウジと考えてばかりなので、かなり人によると思います。現実として直面したならば、そんな状態になってしまうのではないかと思いますけどね。女性陣が強い人ばかりというのもあるでしょうが。まるで、碇シンジ君みたい。ヒロインの桜子は、皇統最後の女性天皇にして、中学生にして、桜花壱番機《初雪》のパイロット。帝であるため常識知らずで、たまに見せる可愛い感じがいいです。もちろん、主人公に好意を持っています。また、総帥としてかなりの重荷を背負っている。祐樹と桜子の学校の先輩で桜花肆番機《月河》のパイロットの那須野香織。明るく人を元気付ける人物であり、セクハラ大好き。父が超兵器《桜花》の開発者でもある。彼らの上官にあたり航空空母《三栖旗》の艦長代行でかなり横暴な性格。その他に靖国神社の巫女、吉田神楽。桜子の親衛隊である変態の近衛師団などがいる。ストーリー性の強い作品なので、キャラクターの魅力が完全に伝え切れていないような気もする。
 構成は、最初は定番のボーイ・ミーツ・ガールの体裁を取りながらも悲劇へと向かっていく様は中々に胸を打つ。日常描写もあるものの、それが逆に結末をより哀しげに見せるようになっている。また、ラブコメもほぼなし。「戦争」というテーマを扱っているため、展開は悲劇的にならざるをえないのだろうが。最後はいつもの杉井らしく、続きも出せるような展開で終わらせてある。個人的には、構成が「新世紀エヴァンゲリオン(の前半)」ぽく思えた。
 世界観は、色んな意味で危ないのではないかと思えた。本文中には「日本」とは明記されていないが、東京や靖国、皇居、仙台などの名称が出てきているので、まず日本でしょう。ただ、テクノロジーが明らかに進んでいるので、現在ではなく、未来と推測される(だったら、……とも思わなくもないですが)。その中で、東日本が皇国、西日本が民国として戦争状態にあるというのである。詳細は不明であるが色々と気になる。桜としては接ぎ木でしか増えることが出来ないソメイヨシノは種としての絶滅を防ぐため、九人の人間たちの記憶を錨として時を止めたのである。その力を利用したのが桜花である。桜花は皇国の那須野博士が開発した飛行兵器。ただ、彼以外にはまったく謎のテクノロジーで出来ている。また、パイロットたちは根源が一本のソメイヨシノということからお互いの気持ちがわかってしまう。などなど。かなり独特に設定されてあるので、詳しくは本編など参照ということで。設定はソメイヨシノという上手いところを突いたと思える。桜花についての詳細の様子が記述されていないのが、少し残念か。るろおさんのイラストで補完されているが。そのため、かなり人によって評価は分かれるのではないだろうか。
 文体は、主人公の一人称によってストーリーは展開している。主人公がツッコミするところなどいつも通りの杉井光である。なので、読みやすい。全体に暗い雰囲気になるのをわりと軽めの表現にして抑えているなどである。
 内容は、定番に見えるもの、設定から最後の展開にはどうしても考えを巡らされずにはいられない。結末はキレイに終わらせているといえば、そうかもしれないが、戦争モノなのでどうしてもしこりは残ってしまう。美しくも残酷である。まず、元々同じ国の人間たちを中学生の少年少女たちが殺さなくてはならないというところから救いは既にない。中学生という多感な時期に命運がかかっているということで、より痛ましく悲劇的に、しかし同時に非現実的にも映ってしまうのではないかと考えている。軽い気持ちで読むと痛い目を見ることになると思うので、ある程度心して読むのがいいかもしれない。悲劇性ゆえに、この作品は保たれていると言ってもいいのではないかと思う。ただ、主人公の性格がどうもはっきりしないので、若干鬱陶しく思うことも。あと、構成の部分でも触れたが、個人的には「新世紀エヴァンゲリオン」。それに加えて、秋山瑞人著『イリヤの空、UFOの夏』が思い出される。
 「面白い」と評するような作品ではないが、ここ最近の私の読書の中ではかなり読ませるものであった。
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テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

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