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インシテミル

インシテミル (文春文庫)インシテミル (文春文庫)
(2010/06/10)
著:米澤 穂信

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総合評価:B
キャラクター:B
構成:B
世界観:A´
文体:A´
内容:B

 米澤穂信が挑んだ本格ミステリー。確かに面白い作品だと言えた。
 キャラクターは、12人。最初は登場人物たちの区別がつきにくいかとも思ったが、読んでいるうちに個々のキャラクター性がうまく掴めていった。本格ミステリーに挑んだということで、米澤穂信の青春成分は無くなったのかと思ったが、主人公結城が須和名に送る視線や〈暗鬼館〉に集められた面子が20代が多いことなどからその点は健在だった。また、所々から『古典部』シリーズ的なコメディ要素も見て取れた。さらに、空気が読めず、どこか気取っていて探偵としての立場が弱いという米澤的探偵も同じような感じであった。ミステリーを嗜んでいない人物が多く、ミスリードを誘うという意味でもこれは中々上手く作ったキャラクターと言えた。ただ、結城の須和名への恋心や渕の挙動不審すぎ、各キャラクターの背景の薄さは少し甘いという感じもしたが、ミスリードを起こしているので、これはこれでよいと考えられる。それと新しさへの挑戦とも言うべきは、ミステリーには中々登場しない際物の〈ガード〉だろうか。万能性をあまりにも発揮しすぎるせいで、何ともという気もせんでもないが、物語にしっかり組み込まれてているのはさすがである。
 構成は、一週間ということで緩急のテンポが激しすぎるという面はあったが、面白い構成になった。探偵や犯人、被害者役が一定しないという点が一つと主人公であり探偵でもある結城が途中退場してしまうという二点が良かったと思える。
 世界観は、〈暗鬼館〉というコテコテのクローズドサークルに、それとなく関係のあるメンバーが招集されたこと、ミステリー好きを楽しませる小道具の数々など、それらにはワクワクさせらずをえない。本格ミステリーと謳い、あれおかしいぞと思わせるようなことを起こさせているのが素晴らしい。ノックスの十戒が出てきた時には心が躍った。
 文体は、米澤穂信らしさ全開で、スラスラと読み進めることができた。この全てを描写しきらず読者に想像させる文体はやはり良い。ただ、どこからともなく食事が登場したり、洗濯物が自動で洗濯されたするのは、純粋にミステリーを進めるという意味でご愛嬌というところだろうか。
 内容は、従来の本格ミステリーという杓子で測ると、物足りないようにも感じられるが、これが新感覚の本格ミステリーというやつなのだろう。時代とともに本格ミステリーも移り変わっていくわけだから。私は見事に騙されたということもある。主人公視点で読みながらも、〈暗鬼館〉を設定した〈主人〉の気分も同時に味わえるというのも魅力的で、先達の物語を意識して書かれた物語としての一面の志向も面白かった。しかし、結局無事生き残れそうなのは、結城と須和名、安東だけとは。
 この『インシテミル』に私は見事に淫されたと言えよう。ミステリー好きにはこの新たなミステリーを楽しんでほしくあり、ミステリーをそこまで読んでない人も等しく楽しんでもらいたい。
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