桐野くんには彼女がいない!?
桐野くんには彼女がいない!? (一迅社文庫 か 3-3) (2010/06/19) 著:川口 士 イラスト:美弥月 いつか 商品詳細を見る |
総合評価:C
キャラクター:C
構成:C
世界観:C
文体:B´
内容:B´
完全なネタ作品。ただ、いまひとつ突き抜けたところがないのが少し残念なところ。
十八までに童貞を捨てないと死ぬと告げられた異能力者である桐野康介。しかし、彼は沙由里やレナ、森里たち鉄道研究会兼ラノベ部の仲間たちと雑談したりゲームしたりして、時に異様な存在を気にしながらものんびりと学園生活を送っていた。そんな中、桐野家の実家がある熊野の山奥の村に伝わる奇祭に仲間たちと参加することに。
キャラクターは、メインの三人が平坂読著『僕は友達が少ない』に似ていらっしゃる。というか、1章の冒頭が「僕は友達が少ない。」から始まっているし、そもそも帯が「鉄研×ラノベ部」というのはどう考えても狙っているでしょう(作中でも語られているが)。主人公の桐野康介は一部若白髪でモテないが心は優しい、つまり小鷹。ただ、今作では主人公が本当の意味での邪気眼こと異能力者である。ヒロインは二人。遠山沙由里が康介の幼馴染で口が悪く黒髪で長髪、つまり夜空。性格が残念。レナ=イリノヴナ=薬袋が、クォーターで銀髪で巨乳で沙由里に毎回嵌められている、つまり星奈。サブヒロインのような気がする森里麻耶は作者がパロディとしてやりやすいキャラなのだろうか。元写真部で活発、主人公とは気が合いネタの応酬をしている。従妹の桐野美奈は小学生でおにいちゃっ子。おそらく、サービス兼ネタだろうと思っている。しかし、ちびっ子生徒会長が滅茶苦茶気になるじゃないか。しかし、滝行で女性陣が濡れ透けになったところで主人公が「隊長! カメラ! カメラの用意を!」と叫んだのには、無駄に感動を覚えてしまった。
構成は、前半が日常学園編で、後半がオカルト編という形。若干、唐突な感じもする。ただ、展開としては王道といえる。冒頭にエピローグを配置(『キノの旅』か?)。各章のタイトルも鉄研会の一存や薬袋レナの憂鬱などネタから付けられている。
世界観は、学園編の部分では特に問題なし。ただ、ラノベパロを中心としたネタで構成され、オリジナルティに欠けた。後半のオカルト編に関しても、主人公の異能の説明やら状況に関してはよいものの、バトル的な描写が微妙である。まぁ、うまく逃げているとはいえるが(そもそもそこをメインにしているわけではないので)。ただ、どちらにせよインパクトに欠けているというのが残念。
文体は、簡潔型。特筆することはないが、パロディに対して文体も変えてきているので、そこら辺は評価する。読み易いので問題もない。
内容は、前半と後半のバランスが悪い。オリジナルであるオカルト関連部分を強調するにしても、もう少し紙幅を使うべきだったと考える。だが、内容としては王道なので、評価としては標準である。パロディである点から言っても。でも、内容自体はこれはこれで楽しめる。
せっかくキャラクターも世界観も出来てきているので、2巻は出して欲しいところである。ネタ探しという点で読んでみてもよいと思う。
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